「シャワーで流して塗り直す」

なんとか線画を終え、いよいよ彩色へ。
紙が変わっているので試しに塗ってみると、絵の具がぜんぜん伸びない・・・。
最初は水の量と絵の具の付ける量のバランスがなかなか掴めずに苦労しました。
慣れてくると薄い色でもしっかりと乗る紙だという事が分かったので、細かい部分は塗りやすかったのですが、
逆に広い部分では伸びないために、最後まで苦労しました・・・。

塗りやすい絵から塗ってゆき、空以外での最後はコクピットの中の絵でした。
9・11以降、コクピットには特定の人しか入ることはできなくなり、
今回もコクピットの絵は、AIRDOの方から過去に入れた時に撮った写真をいただいて描いたもので、
私自身は絵本に出てくるB767という飛行機のコクピットは実際に見ることはできませんでした。

写真や雑誌に出ているものを見比べて色を決めたのですが、小さい範囲を塗ってみて「良し」と思った色が、
全体に塗ってゆくと、どうもちがうなぁ・・・、という事が三度も・・・。
このホワイトワトソンという紙は、なんとシャワーで色を落とすことができるのです。
半信半疑で聞いていましたが、おっかなびっくりやってみると、本当に色が流れてやり直すことができました。

しかしながら、表面は少しずつ荒れていき、ムラが目立つようになってきてしまいました。
3回目の色もいまいちな感じがして、塗り直しを決めて、シャワーで流したのですが、
線画の黒もさすがにもう限界で、これでダメだったら線画も描き直ししかないと腹をくくり、時間との闘いの中、
なんとか、自分の中でOKが出せる範囲の色になりました。

そして最後の難関の空の色へ。
スケッチブックの時は水をたっぷり含ませればほぼ思い通りの感じになったのですが、
全くと言っていいほど伸びないので、一番広い筆を買ってきて何度も何度も練習したのですが、
イメージにはほど遠い、ボテッとした空になってしまいました。
仮に広い部分を塗れたとしても、建物の間などの空間をきれいに塗る自信はありませんでした。

〆切が迫る中、いよいよ「どうしてもできなんです・・・」と電話すると、「では別版でやりましょう」と。
いろいろな空だけの絵を印刷の時に重ねるという手法です。
そんな事ができるなら先に言ってくださいよ・・・、などと言えるはずもなく、慌てて空の色付けを。
それでも筆では上手く塗れないので、使ったのはプラモデルの色を塗るためのエアーブラシでした。
ここでも趣味のものが登場。「芸は身を助く」でしょうか・・。

北海道の空、高度3万8000フィートの空、東京の空など、8種類の空だけの絵も塗って、ようやく郵送。
絵画用の送り状を付けての発送でした。