「思わぬ落とし穴」

その後はページ数に合わせた絵の構成・枚数の調整、どこに文章を入れるかなど
デザイナーの方も含めて打ち合わせを何回か行いました。
構成もほぼ固まり、2011年11月末に本描き前の打ち合わせ後から少しずつ進め始めました。

発刊は2012年10月号、実際の販売開始は9月1日に決定。
絵の〆切は5月第2週の金曜日、本文の〆切は6月中旬、後書きは7月中旬というスケジュールで、
12月から線画を始めました。用紙は私が描きやすいもので良いとと言っていただいたので、
最初に描いた時と同じスケッチブックで、大きさはほぼ本の原寸のB4版を使いました。

原案からの絵の差し替えはほとんど無く(ページのめくりが逆になったので、向きは全部反対になりましたが)、
一度描いた事のあるものという事で、丁寧に順調に進めることができました。
2月末、線画が出来上がり、編集者の方に見てもらいに上京しました。

ずっと打ち合わせをしてきていた編集者が人事異動で12月末で変わっていて、
新しい方と挨拶もそこそこに、早速見てもらおうとスケッチブック渡したのですが、
表紙をめくっただけで先に進みません・・・。
「えっ・・、なんかおかしい?」とドキドキしていると、一言「小さいね・・・。」

絵本のセオリーは大きく描いて印刷の時に縮小するそうで、
よっぽどのことがない限り原寸ではやらないとの事。
「前の方がこの大きさでいいと・・・。」と言ってみるも、
「あと2ヶ月ちょっとあるので、描きなおしてもらっていいですか」と。
用紙もスケッチブックではなく、「こちらを」と見せてもらったのは
ケント紙とホワイトワトソンという見たこともない紙でした。

ケント紙は絵の具がのる感じではなかったので、ホワイトワトソンという紙で、
大きさはF8というものになりましたが、かなり大きい・・・。

2ヶ月以上かけて描いた渾身の線画がボツ・・・。
2ヶ月でしっかりと色を塗ろうと思っていたのが、2ヶ月で線画と彩色という、考えてもいなかったスケジュールになってしまい、
北海道に戻ってからは本当に大変でした・・・。

初めての紙は、筆圧も芯の堅さも変えて描かなくてはならず、今までよりも拡大して描かなくてはならないので、
全体のバランスが崩れないように注意しなければなりませんでした。
本当に2ヶ月で全部終わるという見込みもない中で、とにかく集中力が切れるまで机に向かい、切れたら寝るという感じになり、
いつの間にか、昼なのか夜なのかもわからなくなっていました。
この頃の子供たちの記憶も全くなく、まだたくさん雪が残っていた気がしていたのですが、いつの間にか家の前のサクラが満開になっていました・・・。