「完成、そして出版へ」

線画が終わった後は彩色です。
水彩はG&Wの携行型のものに、足りない色は同じメーカーの色を探し、なければ普通のチューブタイプのものを使いました。
同じ色を作るのが苦手なので、できるだけ混色しないようにしましたが、やはり全部既成の色だけというのは無理でした。

彩色していて一番印象に残ったのは飛行機の色でした。
羽田空港で見るAIRDOの色は、なんて弱いんだろう・・・と思っていました。
旭川空港で写真を撮っていても、それほど感じなかったのですが、
緑を背景にして離陸滑走している絵を塗っているときに、「あれっ?」と。
とても色のバランスが良く、いきいきとした感じでした。
黄色は大地、水色は北海道の空をイメージしているそうで、だから都会の中ではなく、緑が似合うのです。
残念ながら本ではページの関係で、この絵は使えませんでしたが、新たな発見でした。

絵本作業風景

[絵本を描いている時(本描き・〆切直前)の唯一の写真。]

彩色も約2ヶ月ほどかかりました。
そして絵と並行して考えていた文章を読みやすく組み替えてプリントアウトして完成。
毎日描いていたわけではありませんが、約4ケ月ちょっとかかっての心境は
やり遂げたという満足感がありました。

これが本当の自己満足というものです・・・。

出来上がったものをとりあえず、旭川で会った文芸社の編集者に送ってみました。
絵本はやっていないと言われていたので、全く期待も何もなく、
「やってみてください」と言ってもらえたから、「見てみてください」という心境だったと思います。

しばらくして戻ってきたコメントと出版条件はかなりの高評価と好販売条件でした。
しかしながら、印刷費用は自費で、4色刷りのため費用は200万円以上との事。
さすがに無理と連絡したところ、160万円まで下がったのですが・・・。

どうしようかと悩んでいた時に、普段絵本を買っている旭川にある「こども冨貴堂」の店長・福田洋子さんに電話しました。
すると、「今持ってきなさい」と。
すぐに持って行き、読んでもらいました。
一読後「これはおもしろい。編集者をつけて世に出すべきだ」と言っていただき、
その場で「知り合いの編集者がいるから」と、福音館書店に電話して「こういうのがあるから読んで」と話してくれました。
そして「あなた、これをすぐにコピーして速達で送りなさい」と。
2009年7月の終わりの頃でした。

しばらくして福音館書店から電話がありました。
送った編集者の方は0・1・2という赤ちゃん向けの部署だったので、他の部署の方からでした。
話を聞きたいと言っていただけ、9月に上京しました。
「たくさんのふしぎ」の編集長と編集者の方を前に2時間ほど一生懸命話しました。
最後には「やりましょう」という事になり、信じられない気分でした。

出版は2012年で、余裕をもって後半に出せるスケジュールという事で7~9月号ぐらいという事になりました。
この時は正直、「そんなに後なんだ」と思ったのですが、
この時点で2010年発刊分はすでに印刷前まで来ているものもあり、
2011年分のラインナップも12冊は決定していたので、福音館書店の月刊誌のスケジュールでは最短に入れた事になりました。