「転機」

航空関連の本をたくさん読んでいくうちに、航空関連の運行システム、そのシステムを構築するあたっての考え方、細かい規定の数々とその理由など、
知れば知るほど「なるほどなぁ」と。
全ては「安全のために」

飛行機もいろいろな機種があって大きさや形も違いますが、それぞれにかっこいいと思います。
その形は機能的で無駄が無く、安全に効率よく飛ぶためのものであり、それらを追求した、「結果としての造形」です。
自分の木でのもの作りも、どこか目指しているところが似ていると思います。

ただの飛行機が好きな家具製造作業員だった私ですが、
絵本を書いてみようかと思ったのは、作業中に手に怪我をしてしまったことがきっかけでした。
今まで当たり前にあった指が無くなった。
私にはとてもダメージが大きく、もう立ち直れないとも思いました・・・。
2008年3月の終わりの事でした。

怪我が当たり前として語られる木工業界。
それぐらい大したことないと、もっとひどい怪我をしてる人は大勢いると平気で言われたりする木工業界。
そんな雰囲気が怖くなって、木工以外の仕事はないだろうか・・・。
怪我の心配のない仕事。
入院している間に思いついたのは「絵本でもかいてみようかな・・・」

今思い返しても、なぜそんな風に思ったのか、全くわかりませんが・・・。
怪我のせいで、まともではなかったのでしょう・・・。

子供向けの飛行機関係の本はほぼ全部見た、という中で、エアバンドのようなパイロットと管制官との会話というものは見たことはありませんでした。
空港に行けば一番目立つ管制塔。
飛行機を見ているのだろうなぁ、と誰もが思うけど、どんなことをしているのだろう・・・。
自分が知らなかったように、多くの人も、ああした交信が行われているとは知らないだろう。
空港で飛行機を見ていながらエアバンドで交信を聞いていると、その臨場感はとても面白い。

英語で行われている会話を日本語にして再現したらきっと面白いはず。
絵本のイメージは福音館書店の「かがくのとも」かな。
メインはパイロットと管制官の無線でのやり取りで、安全に飛ぶための様子を描くものがいい。

入院中は妄想する時間だけはたくさんあったので、構想はどんどん進み、メモ用紙にラフスケッチで
イメージを書いていき、絵に合わせた文章も裏に書いていきました。
見舞いに来てくれる息子に読んでみせると「おもしろい」と言ってくれたので、なんだかその気になってしまい、
退院したらちゃんと描いてみようと思っていました。
でも、それが出版物として世に出回るというイメージはゼロだった気がします。